アウトドアに精通した人々のお気に入りキャンプ場を、本人の実体験に基づいて紹介していくリレー連載です。今回は、関西圏で活躍するアウトドアライターの根岸真里さんが選ぶテン場を、全3回に渡ってお届けします。
奥摩耶ドライブウェイから繋がるキャンプ場
「キャンプ」といえば、煩雑な日常から離れて、自然のなかでリフレッシュすることが目的のひとつという人が多いだろう。非日常性を求めて、ふだんは行けない遠くを目指したくなるものだが、町からすぐの場所でも、豊かな自然に囲まれて、都会の喧騒とは無縁の場所がある。
神戸のウラヤマで、大阪の都心部からでも1時間かからずにアクセスできる六甲山がそれ。その山中、摩耶山エリアの奥の方にあるキャンプ施設が「神戸市立自然の家」だ。
神戸市で育った人なら、学校の遠足やキャンプで利用したことがあると思う。1962年(昭和37年)に、「六甲山ユースセンター」として開設され、11年後に施設を拡充して「自然の家」に名称変更。宿泊棟とキャビン、常設テントなどもあり、学校行事に対応した施設だが、日によっては一般利用もできる。
ビギナーからベテランまでが集う野宿体験イベント
ココをフィールドとして、不定期で活動しているのが、摩耶山でさまざまなアクティビティを行っている「マヤカツ」の「野宿部」だ。
マイテントを持っている人も、持ってない人も参加できる。天候が悪くなれば、建物に逃げ込めるし、食事は持ち寄りだけれど、アウトドア料理の達人たちが作る豪華メニューのおすそわけに預かることもある。私が参加したときのメニューは、ダッチオーブンで鶏を丸ごと焼き上げたり、本格的なスパイスカレーが登場したり。もちろん、コンビニ飯でも非難されることはない。
集合時間が決まっているわけでもなく、仕事終わりに三々五々、適当な時間にやってきて、好きなように山の夜を楽しんで過ごす。焚き火を囲んで語らうもよし、夜空を見上げながら黙想するもよし。翌朝もそれぞれの都合に合わせて旅立っていく。そんな自由な空気感が大きな特徴だと感じた。