キャンプでエサやり体験に盛り上がる
アルパカや羊などの大きな動物たちは柵で囲われた中にいた。エサの紙袋をもって柵のほうへ行ってみると、羊たちはみんな柵からかなり離れたところにいて遠い。いろいろとアピールしてみるけれど、こちらに来る気配はない。
そうこうしていると、管理人らしきおじちゃんがやってきて柵の中に入っていき、手慣れた様子でこちらに呼んできてくれた。
なにかが入ったカップをカラカラと鳴らし歩くおじちゃんに付いて、羊たちがいっせいにかけて来る。やってきた羊やアルパカたちにエサを出すとすごい勢いで食べる。楽しい!
ホリデーパークにはキッチンルームやラウンジがあることが多く、大抵はそこで調理して食事を取る。この日の夕食もそのキッチンで調理をした。メニューはステーキと赤ワイン。ニュージーランドの大自然で育った食材は、野菜や果物、お肉や乳製品までどれもおいしい。
ニュージーランド国内には、ワイナリーもたくさんあり、スーパーにも手頃でおいしい国産ワインがずらりと並んでいた。キャンプの食事は何を食べようか、何を飲もうか、と毎回悩むがとても楽しかった。
日常の延長にあるニュージーランドのキャンプ
ニュージーランド人のキャンプは、道具もとてもシンプルだった。さくっとテントを立てたら海や川に遊びに出る。ゆっくりサイトで焚き火をして、というキャンプではないことが多く、キャンプは宿泊手段なのだと感じる。自然保護のため焚き火が出来ないキャンプ場も多かった。焚き火のないキャンプはやっぱり物足りなくも感じ、日本の焚き火好きもまた文化なのだなあと気付かされた。
また家の前にキャラバンと呼ばれる小さなトレーラーハウスが置いてあるのもよく見かけた。ホリデーになるとキャラバンを引っ張って旅に出たり、友人や親戚が遊びに来た時にはキャラバンに泊まってもらったりもするそうだ。
この日のキャンプ場にも可愛いキャラバンを引っ張ってきている方がいた。ニュージーランドの人々にとってキャンプは、特別なものではなく日常の延長にあるようだった。そのナチュラルさがなんだかとても素敵だった。
日本でのキャンプも、今よりちょっと身近で気軽なものになればいいなと思った。
【データ】
■キャンプ場名:Mossburn Country Park(モスバーンカントリーパーク)
■住所:333 Mossburn-Five Rivers Road, Mossburn 9793, New Zealand
■営業期間:冬季休業
■著者:関根千種(せきね・ちぐさ)
■プロフィール:埼玉県出身。イラストレーター・アウトドアフードスタイリスト。キャンプや自然素材のイラストを得意とするイラストレーター。また、飲食経験を生かしキャンプシーンのフードコーディネートやレシピ制作などを手がける。史上初の飯盒を使った上下段同時調理レシピ本を上梓。著書『ぜんぶ同時に出来上がる!飯ごうで作る絶品定食レシピ』、共著『ぜんぶ同時に出来上がる!飯盒2型絶品定食レシピ』(三才ブックス)。