子グマを守る母グマであれば、害はないとし駆除はしない方針
事件当日、すぐに地元の猟友会や警察、消防、町職員らによる捜索が始まったが、加害グマを見つけることはできなかった。
しかし、事件から2日後、道立総合研究機構エネルギー・環境・地質研究所自然環境部の所員らが付近を調査した際に、体長60cmほどの子グマの死骸と、冬眠していたとされる穴を発見。男性が襲われた現場から、30mほど離れた場所だった。子グマは、木の枝に首を挟まれて窒息死した可能性が高く、死後数日が経過した状態だったという。母グマの姿はなかった。
これらの状況から本件は、「母グマが子グマを守るために起きた偶発的な事故」とみなされた。本来、クマは、人間とは無用の軋轢を避ける生き物だ。おそらく、逃げることができない子グマを守ろうとして、ある種仕方なく母グマは人間に攻撃を与えたのではないかと考えられる。子グマに対する母グマの防衛行動は、継続的に人を襲う恐れは低いとしている北海道ヒグマ管理計画に基づき、厚岸町は駆除不要との判断を下している。
【データ】
■書名:『日本クマ事件簿』(三才ブックス)
■出版社:三才ブックス