気候がよく、虫の少ない春先はキャンプにぴったりのシーズン。しかし、花粉症の人にとってはつらい時期かもしれません。今回は花粉症などのアレルギーについて、アウトドア医療のプロで救急医の稲垣先生に聞いてみました。
通年性アレルギーと季節性アレルギー
日本人の4割以上が発症し、もはや国民病ともいえる花粉症=アレルギー。これは、植物の花粉などのアレルゲンが鼻や目から入り発症するアレルギーで、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎と呼ばれ、具体的には鼻水、くしゃみ、鼻詰まり、のどの痒み、目のかゆみ、充血、涙などの症状があらわれます。
鼻炎や結膜炎を起こすアレルギーは、通年性と季節性に分けられます。まず通年性アレルギーは季節に関係なく発症し、原因はダニ、ハウスダスト、昆虫類(ガやゴキブリほか)、イヌ・ネコのフケや毛などです。
キャンプなどアウトドアにおいては、普段使っていないアウトドア用の衣類や道具、山小屋の環境などで発症することもあります。
季節性アレルギーの原因は樹木や植物
季節性アレルギーとは、花粉などのアレルゲンが増える時期に合わせて発症するもので(=花粉症)、地域性があります。例えばスギ花粉症は北海道・沖縄では少なく、太平洋側に多く、シラカバ花粉症なら北海道が多いなどです。これらは飛散範囲が広いので、飛散地域の屋外においては回避が難しくなります。
また季節によっても、植生にその差が出ます。大まかに春は樹木、初夏から夏にはイネ科の植物(カモガヤ・ハルガヤ・オオアワガエリ)、秋には草本(ブタクサ・ヨモギ・カナムグラ)が、季節性アレルギーの主な原因となります。
世界的には、花粉症といえばイネ科が一般的でhay fever=枯草熱とも呼ばれています。カモガヤやハルガヤは河原、土手、荒地や畑地、牧草地などに生えるもので、スギなどに比べて飛散範囲は狭く、数10m~数100mその草から離れれば影響から回避できます。