群馬県の北軽井沢に、この春新たにオープンするキャンプ場がある。
ここは数年前までは別のキャンプ場として営業されていた。閉鎖され数年手付かずとなっていたフィールドを整備し、また新たなキャンプ場として生まれ変わる──。
北軽井沢の自然の気持ちよさに惹かれて
-be-北軽井沢キャンプフィールドは、軽井沢の街からさらに30分ほどクルマで登っていったところにある。夏は冷房がいらないほどに涼しく、冬は住むことをためらうほどの厳しい寒さがある。
ここでキャンプ場をやろうと決めたのは「北軽井沢とこのフィールドの自然の気持ちよさに惹かれたから」とオーナーの佐久間亮介氏は言う。
佐久間氏はかつて、キャンプを仕事にすると心に決めて脱サラ。その後2年ほどかけて日本一周キャンプ旅をしながら、当時はほぼなかったキャンプ初心者向けの情報ブログを立ち上げ、発信し続けた。
旅を終えた後は、ライターやキャンプ企画の監修、モデル、さらには「ガレージテント(テンマクデザイン)」の企画デザインや、書籍『キャンプ職業案内』(三才ブックス)を出版するなど多岐にわたり活躍している。
そんな人一倍にキャンプに尽力してきた佐久間氏が、長年の夢でもあったキャンプ場をここ北軽井沢ではじめるという。
「帰りたくない」と思わせる魅力
はじめて訪れたのはプレオープン中の昨年10月末ころだった。東京近郊では、日中は半袖で過ごせるほどの、まだ夏が抜けきらない気候だったが、北軽井沢には早くも冬がやって来ていた。
夜は氷点下まで冷え込みテントはシャリシャリに凍った。関東近郊に位置しながら、まるで北海道のようだとも思った。
ちょっと足を伸ばせば広がる別世界のような、普段の生活とはがらっと変わる空気と自然がすごく気持ちよかった。忙しない日々からもふっと解放させてくれた。まさに非日常を感じられる自然があった。
陽が傾きはじめると一気に冷え込み、焚き火のあたたかさが沁みる。気がつくと空には満天の星が瞬いていて、その場にいたみんなでしばらく見上げた。
朝が来て陽が差し込むと、太陽のあたたかさが夜に凍ったすべてのものを溶かしていく。鳥のさえずりとぽかぽか陽気が心地よすぎて、椅子に腰かけしばらくぼーっとしていた。うっかり帰りたくない気持ちにさえなってしまった。