古くから食材や薬として親しまれてきた野草。何気なく通り過ぎている道路の脇や空き地といった身近なところに、おいしく食べられる野草がたくさん生えていることにお気づきでしょうか。見つけるポイントやおいしいレシピなど、ハーブ王子こと野草研究家の山下智道さんに教えていただきます。春に食べたい野草、第3回目はカラムシです。
あちこちに生えていて手軽に採取できるカラムシ
数ある野草のなかでも遭遇率の高いカラムシ。日当たりのよい道端や野原、河川敷など、わりと身近な場所に群生している植物です。気づいたら庭に生えていた、という場合も少なくないかもしれません。第1回目に紹介したノビルも同じような環境を好むため、一度に両方の野草を発見するケースもあるでしょう。
「見た目はシソやエゴマにそっくり。何が違うのかというと、互生(ごせい)といって、茎に対して葉っぱが交互につく植物であること。シソもエゴマも、対になって葉がついているので、そこが大きな違いです」(山下さん)
シソのような葉の形をしたカラムシですが、葉を裏返してみると白っぽくなっています。この白色の正体は綿毛。軍手をはめて採取すると、やわらかい葉がぴったりくっついてなかなか取れない! カラムシを採取するときは、素手のほうがよさそうです。
クセがないのがカラムシ最大の個性
カラムシの葉は簡単にむしることができるので、あっという間にボウルいっぱいになります。それでは野草クッキングのスタートです。
「塩茹でしてから冷水にさらします。さっと湯がくというより、しっかり茹でるイメージで。その後、まな板の上で細かく刻むとモロヘイヤみたいに粘りが出てきます。あとは納豆と混ぜたり、なめろうにしたり。すり身に混ぜて食べるのもおいしいです」(山下さん)
ほかの食材と合わせずに、カラムシの素材そのものの味を楽しんでみるのもいいでしょう。スープにすれば、鮮やかな緑色が目に飛び込んできて、その力強い色合いに元気をもらえます。グリーンカレーにアレンジしてもおいしくいただけます。葉を茹でずに衣をつけて揚げれば、カラムシ天ぷらのできあがり。葉の表面がざらついているため、衣がつきやすくて調理しやすいのがポイントです。
ところで、カラムシはどんな味がするのでしょうか。
「じつは、それほど味はしないんですよ(笑)。香りもすごく強いわけじゃない。だからこそ食べやすいし、ちょっとした野菜がないときに重宝するんですね」(山下さん)