待ちに待ったファミリーキャンプの日。家族の場合は、ケガなく、事故なく、安全に過ごせるよう大人の意識が大切。とくに子どもを守るため、おさえておきたいいくつかのポイントについて、アウトドア医療のプロであり、2児のパパでもある稲垣先生に聞いてみました。
子ども用ファーストエイドキットの中身は?
ファーストエイドキットに「子ども用」という揃え方はとくにないと思います。ただし、飲み薬や塗り薬など薬に関しては、大人と同じものは使えないことがあるので、年齢に合わせた子ども用を別に用意してください。
市販薬は使える年齢を必ずチェックしましょう。アレルギーや喘息などを持っているお子さんは、常用薬を持っていくのは当然ですが、痛み止めや解熱薬、夏はとくに虫刺され用の塗り薬も持っていくとよいでしょう。ステロイド系の軟膏は虫刺されだけでなく、火傷や蕁麻疹を起こしたときにも有効です。
ファーストエイドキットは大人、子どもに関係なく万能な揃え方はありません。行く時期、行く場所、持って行ける荷物の量や人数によって「想定されることを考える」のが大切です。出かけた先で起きる「もしも」のとき、実際に役立つように検討しましょう。
暑い時期、寒い時期に気をつけたいポイントは?
危険度でいえば、夏場の海や川での溺水です。水遊びをする場合は必ずライフジャケットを着用させることが大切です。夏に限らず高所からの転滑落も恐ろしく、また冬場の行方不明や川や湖への転落は発見が遅れると低体温症で命にかかわります。
もしも起こってしまったときの対応や処置を知っておくことはもちろん大切ですが、まずは危険を予測した場所選びと、起こり得ることを想定しておくことがもっとも重要だと思います。
「あれはダメ、これもダメ」と子どもにたくさんの制約をかけては折角のアウトドアを楽しめなくなってしまいますし、親が遊んでいる子どもから常に目を離さないというのも容易なことではありません。子どもとアウトドアを安全に楽しむには、大人の危機管理能力が必要です。
そのほかに夏に注意したいことを挙げるとすれば、日焼けと熱中症です。日差しの強い場所で一定時間以上紫外線を浴びると「サンバーン」という火傷状態になるので適宜、日焼け止めを使ってダメージを減らしましょう。
熱中症は体が暑さに慣れていない状態では起こりやすくなるため、徐々に暑さに慣れていく「暑熱順化」が大切です。休日にアウトドアを予定している場合は、その1〜2週間以上前から屋外で過ごす時間を増やしたり、シャワーだけですませずに入浴するなど、汗をかく機会を増やし、体が暑さに対応できるように準備しましょう。
また子どもの服装に関しては、季節に関係なく機能性に優れたアウトドア用のものを揃えたいところです。「すぐにサイズが変わるからもったいない!」と思わずに、夏なら通気性がよく吸湿性や速乾性に優れたもの、冬なら軽くて濡れても保温性があるものなど、よく動いて、体温調節が未熟な子どもだからこそ、性能のよい衣類で快適に遊ばせてあげたいですね。
冬場のアウターとして着用率が高いダウンですが、保温性に優れる一面はあるものの、濡れると「保温性が落ちる」素材です。一方で、化繊はダウンよりやや保温性は落ちるものの、濡れても「保温性が保たれる」素材です。最近では化繊でも、ダウンの保温性に近い性能を持つものもあるので、両方の特性を考慮してアウター選びの参考にしてください。