どうして雲は白いの?
凝結によって生まれた小さな水、または氷の粒を「雲粒(くもつぶ・うんりゅう)」と呼びます。これらは太陽光の波長とほぼ同じサイズで、人間の目で見える領域の光(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)をどれもほぼ同じくらい散乱させるため、色が混じりあって白く見えます。これが雲が白く見える理由です。
ただし、雲がぶ厚い場合は、上から差し込む太陽光を雲が遮ってしまうので、下側に暗い影ができて、地表から見上げる人には灰色に見えます。雲がぶ厚いほど黒っぽく見えるので、雨が降りそうなときには暗い雲が立ち込めることになります。
朝焼けや夕焼けのときには、雲が赤く見えることがありますよね。これは、地平線付近の太陽からの光は大気層を通る距離が長いため、波長の長い赤色だけ残ることによって起きる現象です。その光が雲を赤く染めたように見せるのです。
ちなみに晴れた昼間の空が青いのは、大気中には非常に小さなちりなどが漂っていて、これらが波長の短い青色の光を散乱させるためです。一方、真空状態である宇宙空間には、光を散乱させるものが存在しません。そのため、宇宙空間は真っ暗闇なのです。
「水」が姿を変えて空に浮かんでいる、それが雲です。毎日のように見てはいても、実は謎の多い存在でもあります。このシリーズではこれから、そんなさまざまな雲のプロフィールを紹介していきます。
アウトドア活動をする人は、雲をより身近に感じることが多いでしょう。そしてときとして、雲がリスクの回避へと導いてくれることもあるかもしれません。
■本稿の監修者:大矢康裕
■プロフィール:気象予報士、気象予報士会CPD認定第1号。山岳防災気象予報士として活動。著書に『山岳気象遭難の真実 過去と未来を繋いで遭難事故をなくす』(山と溪谷社)