平安の昔から、都の貴族たちも憧れたという風光明媚な地、須磨の浦。和歌にも多く詠まれ、『源氏物語』や『枕草子』にも描かれています。六甲山地の西端にあたり、海から立ち上がるかのような山容は、標高は低くても絶景が楽しめる山なのです。
3月下旬から4月初めにかけて桜の見頃になる須磨浦公園
江戸時代の俳人・与謝蕪村が詠んだ「春の海 終日のたり のたりかな」の句で知られるように、巨大な内海である瀬戸内海の波はとても穏やかで、このあたりの風景ものどか、そのものです。句碑が建つのは、山陽電鉄須磨浦公園駅から山上へ向かう登山道の途中。園路を5分ほど登った広場があるあたりです。須磨浦公園の園内には多くの桜が植えられており、3月下旬頃から4月はじめ頃にかけて見頃を迎えます。
また、このあたりは毎年11月に行われる六甲山の秋の風物詩「六甲全山縦走大会」の起点にあたる場所。東西に長く連なる六甲山地を、西端から東端まで一気に縦走するハードな大会で、平均所要時間は13時間。当日は真っ暗なうちから参加者が続々とつめかけて、朝5時のスタート時には独特の熱気であふれかえります。
よく整備された園内の道を山上へ向かって登っていきます。小さいお子さんをお連れの方や、体力に自信がない方は、ロープウェイを利用することもできます。
園路を登ること約30分で、ロープウェイ山上駅のある「東部展望台」へ。目下に広がっているのは明るく青い海。明石海峡と対岸には淡路島の島影、晴れていれば遠く紀州の山々や、紀伊水道に浮かぶ友ヶ島も一望できる絶景スポットです。
絶景を楽しんだら、遊園地のかわいらしい観光リフトに乗って、西部展望台方面へ向かいます。色とりどりのチェアにゆられながら、谷を越えて北西側のもう一つの山頂へ。