クマよけスプレーはトレーニングが必要
携帯品として一般的な、クマよけスプレーの効果を山﨑先生に伺うと「とても効果があり、何度も使ったことがあります。しかし、条件はあります」
まず、ホルスターにスプレーを入れ腰につけておくこと。とっさのときに冷静にホルスターから抜き、安全装置を外し、クマがまっすぐに向かってきたとき、有効射程距離(7~8m)に入るまで待ちます。そして、クマの顔の目・鼻・口の粘膜を狙ってスプレーを噴射します。
「自分への吹き返しにも気をつけなければならないなど、トレーニングを積まなければ成功確率は低いでしょう」
山﨑先生は研究のため、自らクマに近づいていく機会が多く、クマに突進されたことがあります。しかし、直前で方向転換をしてクマが逃げていったことも数回。つまり「クマもできるだけ闘いたくはないのです」。次回は、クマに遭遇しないための工夫について、教えていただきます。
■監修者:山﨑晃司
■プロフィール:東京農業大学教授。地域環境科学部森林総合科学科森林生態学研究室所属。『ムーンベアも月を見ているクマを知る、クマから学ぶ』(フライの雑誌社)など、主にツキノワグマに関する著書多数。