世界一周旅の原点は15歳の時の思い
ただ、本書をオススメしたい一番のポイントは、どこでもテントを張って野宿できるバイタリティでもなく、わざと山道を自転車でアタックするチャリダー魂でもなく、彼の旅への純粋な気持ちでしょうか。
旅への初期衝動というのは誰にも訪れるものですが、それを本当に実現できてしまう人はほんの一握りのはず。15歳の時に「人はいつか死ぬ」ということを実感して、「何か自分にしか出来ない生きた証を残したい」という願望から、自転車世界一周の旅の計画を立て、それを実現してしまった周藤さんの旅への一途な思いが、本書を読んでいると端々に感じられるのです。
正直、文章は粗削りで、本全体の構成も完璧ではないのですが、それを上回る旅への情熱が本全体に散りばめられているので、「どこか旅に出たいなあ、冒険してみたいなあ」という気持ちがあるけど、どこかで躊躇して踏ん切りがつかない方は、ぜひ本書を読んで旅への一歩を踏み出して欲しいかなと思います。
■おすすめ本データ
■タイトル:『いつか死ぬから旅に出た 150ヵ国・13万kmの自転車世界一周』
■著者:周藤卓也
■出版社:海鳥社
■URL:http://kaichosha-f.co.jp/books/guide/5691.html
■著者:周藤卓也(しゅうとうたくや)
■プロフィール:
1983年8月3日生まれ、福岡県出身。15歳、高校受験前に自身の死を自覚。自転車世界一周の夢を掲げる。18歳、高校卒業後に自転車日本一周。22歳、オーストラリアから自転車世界一周をスタート。32歳、150カ国と13万㎞の自転車世界一周完遂(一時帰国あり)。旅中はネットメディアの「GIGAZINE」でウェブライターとして活動。チャリダーマンを名乗る。旅後の夢はゲストハウスの運営。旅好きだけどインドア。収集癖あり。旅後も語学勉強。国内外問わず人口に目がない。
■ウェブサイト:http://shuutak.com/
■評者:川田正和(かわたまさかず)
■プロフィール:
1967年神奈川県生まれ。香川県育ち。明治大学文学部卒。大学を卒業後、出版社に就職するもほどなくして退社。アルバイトでお金を貯めては世界各国への長期の旅を繰り返すうちに、旅行専門の本屋をはじめようと決意。書店員を経験した後、2007年に西荻窪に「旅の本屋のまど」をオープン。日本で唯一の旅行専門の本屋として国内外から注目されている。
■URL:http://www.nomad-books.co.jp/