4つのポイントを断って体温を維持する
熱産生のためのエネルギー摂取とは別に、こちらも急いで対処しなければならないのが、体温を奪う「4つの経路」を断つこと。以下を参考に実施してください。
【01.濡れ(気化熱)を防ぐ】
水分が蒸発する(乾く)とき、体温が奪われます。体が濡れないように、濡れた場合は着替えるか、または拭き取ります。やむを得ない場合はゴミ袋などで全身を覆い、水分の蒸発を防ぎます。
【02.熱放射(輻射熱)を防ぐ】
体が自ら放出している熱=熱放射により体温は奪われます。エマージェンシーシートや毛布、寝袋などを巻き、熱の放射を閉じ込めること。エマージェンシーシートは体に近いところに巻くことでより効果を発揮します。
【03.風(対流)を防ぐ】
風が吹く、空気が対流するとき体温は奪われます。[02.]の上、衣類の一番外側にシェルを着る、タープやブルーシート、ゴミ袋で覆うなどして、体が直接風に当たらないようにして体温の低下を防ぎます。
【04.底冷え(伝導)を防ぐ】
地面やコンクリートなどに直接触れるとき、体温は奪われます。座るときや横になるときは、キャンプマットや段ボールなどの断熱材の上に座ること。そして接触面積は最小にとどめます。
それでも改善せず、反応が鈍くなってきているなどの場合は、救急要請を行ってください。
次回は、低温やけどとテント内の一酸化炭素中毒事故についてです。
■監修者:稲垣泰斗
■プロフィール:救急医、Tight medical works代表、WMAJ野外災害救急法医療アドバイザー。北里大学医学部地域総合医療学特任助教。好きなアクティビティは登山、トレイルランニング、生き物観察。2児の父。