最近、ゲルと呼ばれるモンゴル人の住居を導入するキャンプ場が増えています。編集部ではゲルの歴史や魅力について、輸入レンタル・販売「ゲルキャンプ」の包さんにお話しを聞きつつ、ゲルに泊まれるキャンプ場をご紹介します。
モンゴル遊牧民が長年用いてきた移動式住居
ゲルとはモンゴル語で「家」という意味です。古来、家畜とともに遊牧生活をしてきたモンゴル民族はゲルを住居として使ってきました。12世紀のモンゴル帝国建国以降も、この優れた移動住居を使い人々は生き延び、国を発展させてきました。
モンゴルの国土面積は日本の約4倍もあり、そのほとんどが乾燥した高原台地です。そこには、短い草が一面に生える大草原が広がります。遊牧民にとって大切な5つの家畜、羊・ヤギ・牛・馬・ラクダと家族を引き連れて、年に2回以上、家畜のエサとなる草原と水を求めて移動するキャンプ生活が、モンゴルの伝統的な暮らしです。
ゲルは畳んで運べる組み立て式で、大人数人が2~3時間ほどで設置できる大型テントです。平らな地面に木材の骨組みを立て、内側から綿素材の布をかけ、折りたためる格子状の壁をぐるりとつなぎ、円形の壁を作っていきます。そして外側をフェルト地、キャンパス生地、防水シート、外カバーの順で重ねていきます。直系は6mほどで、広さは畳18畳分ほど。キャンプ場だと大人で最大5~6人まで宿泊を受け付けています。
天然素材のゲルを日本国内でも体験できる
ゲルには天窓が付いており、煙突を立てればストーブを使って室内を温めることもできます。モンゴルでは、冬期はマイナス40度にまで気温が下がることもあり、それでもゲルの中は温かく快適です。
「天然の素材だけを使ったゲルは、モンゴルの人々の知恵が活かされた住居です。しっかりとしているのに、簡単にバラしてコンパクトに折りたたむことができます。これがあればどこででも暮らせます」
包さんは、本場モンゴルのゲルを2014年から輸入・販売し始めて以来、イベントでのレンタルほか数多くのキャンプ場にゲル導入のサポートをしてきました。円形のゲル宿泊は、非日常体験ができるとあって評判も上々。包さんの会社は運輸業を主体にしているので、依頼があればゲルをトラックに積み込み、どこへでも出張・組み立てを行っています。